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名古屋高等裁判所 昭和31年(ネ)212号 判決

控訴人(被告) 碧南市議会

被控訴人(原告) 奥谷市郎

主文

原判決を取消す。

被控訴人の請求を棄却する。

訴訟費用は第一審の分は控訴人の負担、第二審の分は被控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述及び立証並びに書証の認否は次に附加する外原判決の事実摘示のとおりであるからここに引用する。

当審における陳述及び立証

控訴代理人において、本件除名議決をなした当時の碧南市議会議員の任期は昭和三十一年五月五日をもつて満了したと釈明に答え、被控訴代理人は右事実を認めると述べた。(立証省略)

理由

被控訴人は本訴において昭和二十八年八月二十九日控訴人がなした除名議決の取消を求めるのであるが、右除名当時の碧南市議会議員の任期は昭和三十一年五月五日をもつて満了したことは当事者間に争いないところであるから、被控訴人は右議会の除名議決を取消す旨の判決を受けても復帰すべき基盤がなく、本判決を求める実益は失われているものと言わなければならない。よつて本訴請求はその余の判断を俟つまでもなく失当として棄却すべきものとする。

本件訴訟の目的は議員たる地位を回復することに存するのでその間の議員の報酬請求権その他の利益を事由として本件請求の利益があるということは許されない。

よつて民事訴訟法第三百八十六条に従つて原判決を取消し、訴訟費用につき同法第九十六条、第九十条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 北野孝一 大友要助 吉田彰)

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